一軸異方性のあるハイゼンベルクモデルの量子モンテカルロシミュレーション

Ni化合物である NiCl2-4SC(NH2)2 という物質は、 強い磁場下で温度を下げていくとある温度Tcで相転移して 磁気秩序をもつことが実験でわかっている。この系は スピンS=1のハイゼンベルクモデルに(Sz)^2の異方性を加えた ハミルトニアンで記述されると考えられており、 磁場下での相転移は異方性の項により生じる励起子のボーズ・アインシュタイン凝縮と して理解できる。 我々は量子モンテカルロ法によりこのモデルのシミュレーションを行って 実験と比較し、交換相互作用Jや異方性Dを求めた。 下図は、計算と実験で得られた相図(四角い点) と磁化曲線(丸い点)の結果をプロットしたもの[1]。(赤が計算結果、青が実験結果)

計算と実験で得られた相図(四角い点) と磁化曲線(丸い点)

また磁場をかけずに、JとDの比を変えたとき(実験的には圧力を かけることに相当)に起きる相転移についても計算し、相境界線 のlog補正について調べた[2]。

(by 塚本光昭)

[参考文献]

[1] S. A. Zvyagin, J. Wosnitza, C. D. Batista, M. Tsukamoto, N. Kawashima, J. Krzystek, V. S. Zapf, M. Jaime, N. F. Oliveira, Jr., and A. Paduan-Filho: ” Magnetic Excitations in the Spin-1 Anisotropic Heisenberg Antiferromagnetic Chain System NiCl2-4SC(NH2)2″, Phys. Rev. Lett. 98, 047205 (2007).
[2] Mitsuaki Tsukamoto, Cristian Batista and Naoki Kawashima: “Quantum Monte Carlo simulation for S=1 Heisenberg model with uniaxial anisotropy”, J. Magn. Magn. Mater. 310, 1360 (2007).