大越孝洋のページ
|
Top | Profile | Research | Publications | Presentations | Link |
---|---|---|---|---|---|
近年、レーザーを用いた人工格子(光格子)にトラップされた冷却原子系に関する実験が著しく発展しています。
有効的にボーズ・ハバードモデルというシンプルなモデルで記述されるこの系は、システムパラメータの制御性も高く、
理論的に予言された新奇物理現象を実現するための格好の舞台です。
そのような物理現象として実現が期待されているものの一つが、超流動と固体秩序の共存状態である超固体です。
超固体の出現するメカニズムとしては、整合(コメンシュレート)なfilling factor(粒子数密度)をもつ完全結晶に、
余剰粒子やホールといった欠陥をドーピングし、
それらが固体秩序中で非局在化(ボーズ・アインシュタイン凝縮)することによって現れるシナリオ(Andreev and Lifshitzシナリオ)が知られています[1]。
結果として、そのような超固体は非整合なfilling factorにおいて実現されることになります。
しかし,私たちは、正方格子および立方格子上の最近接斥力相互作用のあるソフトコア・ボーズ・ハバードモデルにおいて、
整合なfilling factor 1/2でも超固体が現れることを、filling factor を1/2に固定したカノニカル・アンサンブルに対する
量子モンテカルロ計算を行うことによって直接的に示しました[2,3]。
このような超固体は、固体中に量子揺らぎによって局所的に作られた余剰粒子・ホールペアが非束縛化されることで自発的に欠陥を生み出し、
ドーピングなしで実現される新しいタイプの超固体-コメンシュレート超固体-です。
本研究の成果は、American Physical Society(APS)のPhysicsの記事[4]において、超固体における"notable exception(注目すべき例外)"として引用されています。